手作りパンを作り始めて、何度かぶち当たる壁。
レシピ通りにやっているのになんだかうまくいかない!
固くておいしくないパンができた!
パン作りには不思議がいっぱいです。
そこで、どうしてそのような現象が起きたのか、もしそうなった場合はどう対処すればよいかなどお伝えします。
パン生地の固さがおかしい
パン生地をこねていて、
「本当にこの固さでいいの?」
と思う生地ができる場合があります。
そんな生地が出来上がってしまった理由と、その対処法を紹介します。
生地がべたべたになってしまった
生地がべたべたになる原因の一つとして、使用する粉の種類によって生地がべたつくことがあります。
粉は種類によって吸水率が違います。
一般的に外国産の粉は吸水率が高く、国産小麦は吸水率が低いのが特徴です。
レシピと同じようにするには、レシピにどのような粉を使用しているか記載されているのであれば同じ粉を使う方が無難です。
また、生地がべたべたになる他の原因として、水分を量り間違った、ということも考えられます。
しばらくこねてもべたべたのままでしたら、少しずつ粉を加えて様子を見ましょう。
さらに、こねているときに生地温が高くなるとべたべたしてだらんとなります。
その場合は生地を少し冷やしてから再度こねるか、ニーダーなどを使っている場合は保冷剤をポットにはりつけて生地温を下げましょう。
生地が硬い
生地が硬い場合は水分を量り間違えたことが考えられます。
また、粉の吸水率が高い場合も考えられます。
水分を少しずつ足してみて、生地の硬さを調整してみましょう。
さらに、生地の温度が下がっているときも、生地が硬くなります。
ニーダーなどを使っている場合は、ふたをして生地温が下がらないように工夫するといいですね。
膨らまない
せっかく生地をこねたのに、膨らまない!
膨らまない理由はたくさんあります。
膨らまない理由を確認してみましょう。
材料の入れ忘れ
全部きちんと計量したのに、ドライイーストや元種を入れ忘れた!
なんてことはないでしょうか。
ドライイーストや元種が入ってなければパンは膨らみませんよね。
きちんと材料がそろっているか確認してからこね始めると材料の入れ忘れがないですよ。
ドライイーストや元種が古い
ドライイーストや元種が古いと、生地は膨らみません。
ドライイーストは封を切ったものは、空気に触れないように袋などに入れ、冷凍保存をオススメします。
ドライイーストの使用期限は約1年です。
また、元種は作り方にもよりますが1週間程度しか日持ちしません。
それ以上経過したものはほとんど膨らまないので膨らまなくてもいいパンに使いましょう。
こね不足
パン生地はしっかりこねることでグルテンが作られ、グルテンの中にガスがたまり膨らみます。
グルテンがしっかりできていないと、いくらイーストや酵母からガスが出てきても受け止める膜がないので膨らみません。
グルテンを作るには、しっかりとこねる必要があります。
短時間でしっかりこねるには、油脂は後から入れる方が短時間でこねることができます。
8割程度こねあがった段階で油脂を入れるといいですよ。
材料のバランス
ライ麦、全粒粉、米粉、雑穀などはたくさん入れすぎるとあまり膨らみません。
もちろん、これらをたくさん入れてどっしりしたパンを作る場合もありますが、ふっくら柔らかいパンが好みなら強力粉に対して10~15%程度入れるといいでしょう。
また、フィリングでドライフルーツ、ナッツ類をたくさん使い、生地に混ぜる場合もあまり膨らみません。
フィリングを生地に混ぜる場合は20%を目安として加えるといいですよ。
また、クルミは生のままでは発酵を阻害しますので、一度ローストしてから使いましょう。
塩や砂糖の入れすぎも発酵しません。
砂糖をたくさん入れたパンを作る場合は、耐糖性のイーストを使うなどの工夫が必要です。
発酵不足
パンの発酵で一番大切な部分が、一次発酵です。
ここでしっかり発酵させていないとパンは膨らみません。
一次発酵はパン生地が2倍ぐらいになるまでしっかり発酵させます。
発酵終了の見極めは、指に粉をつけて生地に指を突き刺し、その穴が縮まることなくその大きさをキープできていれば発酵終了。
指をさした穴が縮んでくるようなら発酵不足ですので、もう少し発酵させましょう。
発酵しすぎ
パンは発酵不足では膨らみませんが、発酵しすぎても膨らみません。
発酵しすぎたことを過発酵または発酵過多といいます。
一次発酵で過発酵になってしまうと、膨らまないパンが焼けてしまいますが、一番気をつけてもらいたいのが二次発酵。
意外と二次発酵で過発酵にさせてしまうことが多いのです。
二次発酵が過発酵になってしまうと、焼いてもそれ以上は膨らみません。
二次発酵で過発酵になってしまう原因は、発酵温度が高い、発酵時間が長い、オーブンの予熱に手間取って予定より長く発酵させてしまったなどがあげられます。
二次発酵の終了の見極めは、優しく指の腹で生地を触って、へこんだところがゆっくりと戻ってくるぐらいまで発酵させます。
触ったところが戻ってこないようなら過発酵の可能性がありますので、そうならないように工夫するといいですね。
成形が悪い
成形が悪いと生地は焼いたときに膨らみません。
生地を触りすぎて、肌が荒れていたり、表面をピンと張っていなかったり、とじ目をきちんと閉じていなかったり。
キレイに成形することで、パンが膨らみますので、ここは練習が必要ですね。
また、二次発酵が終了した生地はできるだけ動かさないのが原則です。
せっかく膨らんだのにガスが抜けてしまいますからね。
オーブンの予熱不足
窯入れしてから、窯伸び(膨らんでくること)が悪いと、オーブン庫内の温度が低いことが考えられます。
ガスオーブンは予熱終了と同時にほぼ設定温度になっているのですが、電気オーブンは設定温度に達していないことが多々あります。
それを確認するためには
【オーブンメーター】
があります。
予熱の時にオーブンの庫内に入れておくことで、予熱終了時に温度が何度になっているかが分かる優れものです。
それほど高価なものではないので、一つ持っておくとオーブンのクセも分かるので便利ですよ。
オーブン温度が高い
オーブンの温度が高すぎる場合もパンは膨らみません。
表面が先に焼けてしまって固くなると、中から膨らもうとしても膨らみきれずかたいパンが焼けます。
温度が高く膨らみきれなかったパンは、どこかしらに亀裂が入っていることが多いです。
対策としては、オーブンの庫内に霧吹きをして湿らす、短時間で焼き上げるなどの工夫をするといいですね。
焼成時にオーブンを開けた
焼成の時にオーブンを開けていいの?
結論から言うといいんです!
でも、開けるタイミングが大切で、それを誤ってしまうとせっかく膨らんだパンはしぼんでしまいます。
オーブンを開けるタイミングは焼成時間の半分(例えば10分焼成するのであれば5分焼いた後)が過ぎたころに開けるとしぼむことがなくなります。
レシピ通りにいかない
パン作りの本を買って作ってみたのに失敗した!
そんな経験はありませんか?
どうしてレシピ通りに作っているのに失敗するのでしょう。
その原因を紹介します。
季節によって変わる
パンって生きているなぁ、と私はいつも思います。
気温や湿度などによって発酵具合が変わってくるからです。
夏場は使用する材料もあたたかくなっているので、そのまま使うと発酵の進み具合が早くなってしまいます。
そのため、粉や水をあらかじめ冷蔵庫で冷やしておくと、発酵速度が遅くなります。
夏場は発酵スピードが速くなるだけでなく、生地温が上がり生地がだら~んとだれてしまいがち。
初心者は春先からパン作りを始めるといいですね。
逆に冬は材料が冷たくなっているので、発酵速度が遅くなります。
水を少し温めてから使うなど工夫すると、発酵速度が速くなりますよ。
パン作りに最適な温度は28℃、湿度は70%です。
それに近づけるようにして作ると、レシピ通りの出来栄えになるります。
こねる機械で変わる
機械ごねをする場合は、使う機会によって出来栄えは大きく変わります。
ニーダーを使う場合は、手ごねのように丁寧にこねるのでこね時間は20分以上かかります。
スタンドミキサーを使う場合はスピード調整ができるので、速ければこねあがりも早く、遅ければ遅くなります。
フードプロセッサーを使う場合は短時間でこねあがりますので、気をつけないとこねすぎになる可能性があります。
レシピにこね時間が記載されている場合は、どんな方法(手ごねか機械ごねか)でどれぐらいこねているかを確認してからこねると失敗しませんね。
粉の種類で変わる
パンを作る強力粉は、外国産と国産のものがあります。
外国産のものが扱いやすく初心者向けの粉と言えます。
レシピも特に記載がない場合は外国産の粉を使っている場合がほとんどです。
外国産と国産の強力粉では給水できる水の量が違います。
はじめて国産の小麦を使う場合はレシピの2~3%の水を少なくして作ってみるといいでしょう。
何度も同じレシピでパンを作ると、だんだんと粉の給水量が分かってきます。
あきらめずに何度も挑戦するのが成功への近道ですね。
オーブンによって変わる
オーブンは、メーカー・機種によって焼き上がりが変わってきます。
ガスオーブンか電気オーブンかでも焼き上がりは変わってきます。
特に電気オーブンの場合は予熱をしても設定温度に達していないことがほとんど。
まずはオーブンの【クセ】を知ることから始めましょう。
オーブンのクセが分かったところでレシピ通りに焼いてみて、どのように焼けるのか確認し、温度を上げたり下げたり、焼成時間を調整したりと何度か試してみることが必要になってきますね。
レシピの分量を変えたい
自分が持っているレシピの分量を変えたいとき、どうすればいいかご存知でしょうか?
これを知っていたら、自分で好きな分量で作ることができるので覚えておくといいですよ。
ベーカーズパーセントって知ってる?
パン作り初心者の方には聞きなれない、【ベーカーズパーセント】。
一体何?と思われるかもしれませんね。
ベーカーズパーセントとは粉を100%として、その他の材料がどれぐらい入っているかを示すパーセンテージのことです。
例えば次のようなレシピがあったとします。
強力粉 | 200g |
イースト | 2g |
塩 | 4g |
砂糖 | 10g |
バター | 6g |
水 | 120g |
このようなレシピの場合のベーカーズパーセントはどのようになるのかというと・・・
強力粉 | 200g÷200×100=100 | 100% |
イースト | 2g÷200×100=1 | 1% |
塩 | 4g÷200×100=2 | 2% |
砂糖 | 10g÷200×100=5 | 5% |
バター | 6g÷200×100=3 | 3% |
水 | 120g÷200×100=60 | 60% |
となり、一番右の欄がベーカーズパーセントということになります。
ベーカーズパーセントを使ってレシピを変える
レシピによってはすでにベーカーズパーセントを記載しているものもありますが、記載がない場合はまずはベーカーズパーセントの計算から始めます。
そこから自分が作りたい量の生地を計算していきましょう。
例えば、レシピでは強力粉150gでの記載だったとします。
家族が多く、よく食べるのでもう少し多めに作りたい!
強力粉400gで作ろうと思うのであれば、400にそれぞれのパーセンテージを掛け合わせてレシピを算出します。
先ほど例に出したレシピでの計算をしてみると・・・
強力粉 | 100% | 400g×100%=400g |
イースト | 1% | 400g×1%=4g |
塩 | 2% | 400g×2%=8g |
砂糖 | 5% | 400g×5%=20g |
バター | 6% | 400g×6%=24g |
水 | 60% | 400g×60%=240g |
こういったようにレシピの計算ができます。
ベーカーズパーセントが分かっていると、自分が作りたい量を自分で計算できるので便利ですね。
水を牛乳に置き換えるには
レシピには水で作るように記載されているけど、すべて牛乳に置き換えることは可能か?
結論から言うと可能です。
牛乳は水分量が90%。
つまり、固形分が10%入っていると考えます。
ですから、水分量をすべて牛乳に帰る場合は、レシピを1.1倍するといいでしょう。
ただし、牛乳は生地を締める効果があるので、生地が少し硬くなります。
また、乳糖の影響で発酵が遅くなるのと、焼成時に焼き色がつきやすくなるので注意してくださいね。
バターをオリーブオイルなどに変えたい
バターをオリーブオイルに変更する場合は、そのままの分量でOKです。
ただし、液体だから最初から入れちゃってもいいのかというと、それはやめた方がいいです。
油脂は80%程度こねあがった段階で入れてあげるのが、一番こね時間が少なくて済みます。
最初から入れると、グルテンができにくく、いつまでもこね続けなければいけません。
油脂は固形であろうが液体であろうが、80%生地が出来上がってから入れるようにしましょう。
※すべてのレシピでこのとおりではありませんので注意しましょう。
中まで火が通っていない
手作りパンにありがちな失敗のひとつに、中まで火が通っていなかった!ということがあります。
焼成時間を間違っていた、というのが大きな原因ですが、それ以外にも原因がありますので紹介します。
焼き立てパンをすぐ食べた
焼き立てパンをすぐにほおばることができるのが、手作りパンの醍醐味でもあります。
ですが、焼き立てのパンって、実は中まで火が通っていないことが多いんです。
火が通っていないというと大げさかもしれませんが、焼き立てパンをすぐにカットした経験がある方は分かるかと思いますが、中心部分は少しべチャっとしています。
焼き立てパンは粗熱を取ることで、余分な水分が抜けておいしくなるのです。
水分量の多いレシピ
水分量が多いと、中心まで火が通りにくくなります。
水分は、レシピ通りにきちんと量ってパンを作りましょう。
また、フィリングなどの水分なども火が通りにくくなる原因になります。
ラムレーズン、コーンなど水気をしっかり取って生地に混ぜましょう
古いイーストを使った
古いイーストは新しいイーストに比べると発酵力が落ちます。
発酵力が弱くなっているイーストでパンを作ると、発酵不足になり、焼成した時にきちんと中まで火が通らないということがあります。
インスタントドライイーストは1年以内に使い切るようにしましょう。
生地が過発酵
パンは生地を二次発酵で発酵させすぎても中まで火が通りません。
二次発酵の環境によっては、生地の下部分のイーストが死んでしまって膨らまず、その部分が目が詰まって火が通らなかった、などということも考えられます。
二次発酵で過発酵にならないようにパン生地状態をきちんと見て上げることが大切です。
型に対して生地量が多い
型焼きパンの場合、中に入れる生地量が多すぎると、目が詰まって火が通りにくくなることがあります。
型には生地の適量というものがあります。
適量の生地を入れてあげると、きれいに焼きあがりますよ。
以前、ブログを書きましたので参考にしてみてくださいね。
手持ちの型にどれぐらいの生地を入れればいいか
オーブンの予熱不足
パンを焼成するのにオーブンの予熱は必須です。
オーブンの予熱が不足していると、レシピ通りに焼いてもきれいに焼きあがりません。
例えば、予熱せずに焼いてしまうなど、もってのほか!
パンは天板の熱も使って膨らむので必ず予熱をしましょう。
また、オーブンのクセなども知り、どれぐらい前に予熱すれば目標温度に到達するかなども覚えておくといいですね。
国産小麦を使うときのポイント
国産の強力粉は学国産のものと比べると、タンパク量が少なく、給水があまりよくありません。
そのため、レシピ通りに作っても生地がだらんとしたり、きれいに仕上がらないことが多々あります。
国産小麦を使う場合は、レシピの3~5%程度水分量を減らしてから作ってみるといいでしょう。
小麦の特性が分かってきたら、生地の状態を見ながら調整するといいですね。
失敗生地やパンの利用法
せっかく生地を仕込んだのに、うまく発酵しなかった!
また、焼いてみると中まで火が通ってなかった!
などという失敗してしまった生地やパン。
捨ててしまうのはもったいない!
再利用する方法を紹介します。
水分が多くてドロドロしている生地
水分量を間違ってドロドロになってしまった生地は、マフィン型などに入れてそのまま焼くか、蒸しパンのように蒸しましょう。
また、天板にクッキングシートを敷いて、そのまま流して焼いてフォカッチャにしても。
さらに、分厚いピザとしてピザのトッピングをしてもおいしく食べられますよ。
過発酵の生地
一次発酵で過発酵になってしまった生地は、目的のパンを作ろうと思っても失敗することが目に見えています。
それなら、別のパンにしちゃいましょう。
- ピザ
- ピタパン
- ナン
これらのパンなら膨らまなくてもいいので、過発酵になったパン生地を使って作ってみてくださいね。
ただ、二次発酵で過発酵になってしまった場合はどうしようもありません・・・
中まで火が通っていないパン
焼成していざ食べてみると、中が焼けてなかった!
食パンやフランスパンが綺麗に焼けなかった、そんな場合は・・・
- フレンチトースト
- 揚げパン
- ラスク
などにリメイク♪
フィリングが入っているものなどはオーブンでもう少し焼き直すなどして食べてくださいね。
失敗を繰り返して上達します♪
パン作りには失敗はつきものです。
パン講師をしている私でも、試作の時には何度も失敗を繰り返します。
でも、何度も失敗することで、どのようにすればいいかということが学べ、上達していくものです。
失敗を恐れず、何度もパン作りにチャレンジして、焼き立てパンのある生活を楽しんでくださいね。
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