ルヴァン種と天然酵母って全く別物なのか。酵母の疑問をオンラインでも教えるプロが徹底解説解説
こんにちは! フルーツ酵母パン教室Happy Bakingの幸治里織です。
今日は『ルヴァン種と天然酵母って全く別物なのか。酵母の疑問をオンラインでも教えるプロが徹底解説』ということについてお話しします。
当教室では、フルーツ酵母が日本で唯一学べるパン教室です。
Youtubeで自家製天然酵母について、毎日配信していますのでご覧くださいね。
ルヴァン種と天然酵母の違いがわからない方へ
天然酵母のパン作りをしていて色々と調べているうちに出くわす『ルヴァン』という言葉。
なんとなくわかる気がするけど本当はイマイチよくわからない。
そんなあなたでも分かるルヴァン種について説明します!
ルヴァン種とはいったい何?
ルヴァンとはフランス語で『発酵種』という意味です。
つまりはパンを発酵させるための種のこと。
フランスでは定義が決まっていて
《ライ麦や全粒粉などの小麦粉と水を加えて野生の酵母菌を酢酸菌や乳酸菌とともに育てたもの》
要するに、粉と水だけで作る自家製天然酵母なのです。
ルヴァン種の特徴は?
ルヴァン種の特徴はいくつかあります。
・乳酸菌や酢酸菌の作用で奥深い味わいになる
・保水力があるのでパンが長持ちする
・種が安定している
種を長期間かけついで種を作るので発酵力が安定しています。
ただし、果物で作る自家製天然酵母より種が出来上がるのに時間がかかります。
ルヴァン種は種つぎを行って増やす
他の天然酵母と同じく、ルヴァン種は種つぎをして増やしていきます。
逆に言うと、種つぎをせずにそのまま使い切りにすると言うことはありません。
使って少なくなったら、粉と水を足して発酵させて使っていくのがルヴァン種の特徴とも言えます。
ルヴァン種の酸味が強くなったら・・・
ルヴァン種は種つぎを行って増やしていく天然酵母です。
種つぎを何度も繰り返してくと、ルヴァン種やパンに酸味が強く出ることがあります。
その場合は、ルヴァン種に他の菌が繁殖してしまった可能性があります。
そのまま種つぎを行っても、酸味が強くなるばかりなので新しく作り直す方がいいですよ。
ルヴァン種を長く種つぎをして使うには
ルヴァン種を長く種つぎで使うには、ルヴァン種を使わなくても粉と水を混ぜて種つぎを行うと酸味が出にくくなります。
使っていないからと言って、そのまま冷蔵庫にずっと置いておくと、発酵力も弱くなり、酸味も出やすくなるのです。
ルヴァン種を使っていなくても、少なくとも1週間に1回、可能であれば3日に1回ぐらいは種つぎを行うと、いつまでもフレッシュな状態で使うことができます。
ただし、ずっと使わずに種つぎを行うと、ルヴァン種が増えすぎて使いきれなくなるので、適度にパン作りを行うといいですね。
天然酵母とルヴァン種の違いは?
天然酵母と言われるものはレーズンなどの果物などから作る自家製天然酵母、白神こだま酵母やホシノ酵母のような粉状の天然酵母があります。
一方、ルヴァンは粉と水で作られる天然酵母。 ルヴァンは天然酵母の中のひとつと考えるといいですね。
ルヴァン種は作り方が様々
本場フランスのパン職人にルヴァンを習ってもシェフによって作り方や味が全然違います。
酵母は生き物。
作る環境や使う粉によって味わいが違うパンが出来上がります。
レッスンで教えてもらっても教室と全く同じ酵母が出来るというわけではないのです。
その理由としては、基本的には粉に付着している酵母菌を培養して作るものですが、育てる環境、つまり家の中にどれぐらい酵母菌が住んでいるかと言う違いによっても、発酵力の強いルヴァン種ができたり、発酵力が弱いものができたりします。
パンをよく作られる家にはたくさんの酵母菌が住んでいると言われていますので、今まであまりパン作りを行っていない方よりも、いいルヴァン種ができます。
料理と同じように家庭ごとにルヴァンの味がある、と言うことなんですね。
ルヴァン種の作り方
作り方がいろいろありますが一般的な作り方を紹介します。
材料にライ麦を使用する場合は、ライ麦全粒粉(皮ごと挽いてあるもの)を選ぶようにしてください。
ルヴァン種を作るための下準備
ルヴァン種を作るために必要な道具を紹介しておきます。
ルヴァンリキッドを作るためには、ガラス瓶を用意してください。
プラスチック製の容器だと、内側に目に見えない傷などがあり、そこに雑菌が潜んでいる可能性があります。
プラスチック容器を熱湯消毒すればいいのでは?と思われるかもしれませんが、プラスチック容器は熱に弱いものも多く、熱湯をかけると変形する原因にもなります。
また、熱湯をさっとかけただけでは、雑菌を死滅させると言う面ではあまり期待ができません。
また、アルコールスプレーで除菌ができるのでは?とも思われるかもしれませんが、アルコールスプレーもお勧めできません。
不要な成分が付着していると、酵母菌が育たない可能性があります。
天然酵母を作るときには、どの種類の天然酵母でもそうなのですが、最初に雑菌を排除する必要があります。
パンを膨らませるための酵母菌を育てていくのですが、自家製天然酵母の場合、いろんな種類の酵母を育てているような状態です。
そこで、一種類の菌がたくさん増えると、他の菌は力が弱まります。
なので、最初からできるだけ不要な菌は排除しておく必要があるわけです。
さて、準備いただいたガラス瓶ですが、雑菌を死滅させるために、必ず煮沸消毒してから使います。
沸騰したお湯の中に瓶を入れると、温度差で割れてしまう可能性がありますので、鍋に水を張り、ガラス瓶を入れて火にかけましょう。
沸騰してきたら、5〜10分ほどぐらぐら沸騰している火加減で保ちます。
その後、清潔なふきんやペーパータオル、網などに口を下に向けて粗熱をとります。
粗熱が取れたら、早速ルヴァン種を仕込んでみましょう!
ルヴァンリキッドのレシピ
1日目と2日目は、準備したガラス瓶を使用して作ります。
3日目以降はプラスチック容器を使用していただいても構いません。
●1日目
ライ麦または全粒粉 25g
水 25g
容器に入れてよく混ぜて1~2日27℃前後のところに置きます。 発酵したら冷蔵庫で1日休ませます。
●2日目
ライ麦または全粒粉 30g
水 30g
1日目の容器に加えて2倍になったら冷蔵庫で休ませます。
●3日目
2日目のルヴァンリキッド 30g
強力粉 30g
水 30g
大きめの容器(プラスチック容器でOK)に入れて2倍になったら冷蔵庫で休ませます。
●4日目
3日目と同じ材料を加えてよく混ぜ、2倍になったら冷蔵庫で休ませます。
ルヴァン種の種つぎの方法
ルヴァン種を使用したら、粉と水を混ぜて発酵させてあげれば種つぎして使うことができます。
種つぎを行う場合は、ルヴァンリキッドの作り方の3日目と同じ
強力粉 30g
水 30g
を加えて発酵させるといいでしょう。
残っているルヴァン種の量が多いと、発酵時間は短くなりますし、逆に少ないと発酵時間が長くなります。
今回のまとめ
ルヴァン種は粉と水だけで発酵させるためフルーツなどで発酵させた自家製天然酵母に比べるとクセがないので食べやすいです。
どんな種類のパンとも相性がいいので使い勝手がいいのも特徴。
特にハードパンとの相性はバツグンですので、ハードパンがお好きな方はルヴァン種を作ってパン作りを行うといいですね。
ぜひ、ルヴァン種を作っておいしい天然酵母パンを作ってみましょう!