天然酵母の得意なパンと苦手なパンの種類。自家製天然酵母を長年教えているプロの先生が解説します
こんにちは！
フルーツ酵母パン教室Happy Bakingの幸治里織です。
今日は『天然酵母の得意なパンと苦手なパンの種類。自家製天然酵母を長年教えているプロの先生が解説します』ということについてお話しします。
当教室は、フルーツ酵母が日本で唯一学べるパン教室です。
Youtubeで自家製天然酵母について、毎日配信していますのでご覧くださいね。
酵母が得意とする種類のパンと苦手な種類のパンがあるって知っていますか？
今回は、天然酵母が苦手とするパンの種類と、酵母が得意とするパンの種類についてお話をします。
自家製天然酵母で作るパンというと、リーンなパン、つまり、フランスパンやカンパーニュといったようなハード系のものを思いうかべる人が多いのではないでしょうか。
実際に、自家製天然酵母というのは、砂糖があまり入っていないリーンなパンが得意です。
そのほうがうまくパン作りができます。
そして、苦手なものもあります。
天然酵母が苦手とするパンの種類は、ブリオッシュや、菓子パン生地のように、卵や砂糖、バターなどがたくさん入っているものです。
特に、卵と砂糖がたくさん入ってあると膨らみが悪いパンになります。
酵母は砂糖にはあまり強くありません
イーストのことを考えるとわかるかと思います。
イーストにも耐糖性といって砂糖に強いものもありますが、本来のイーストは、自然にある酵母菌のなかでパンに適したものを単一培養して作ったものです。
本来であれば、その、パンに向いている酵母菌というのはそれほど砂糖に強くはない菌です。
ですから、自家製天然酵母で作った酵母エキスや酵母菌も、もちろん砂糖にはとても弱いわけです。
したがって、多量の砂糖を使うパン生地を作るのは苦手で、あまり砂糖をたくさん入れないほうがふっくらと膨らみます。
ただ、酵母エキスを砂糖に強いものに育ててあげることで、砂糖が多いパンでも上手に膨らませられるようになります。
そこは、また面白いところです。
砂糖が多く配合された生地は作れないのか？
砂糖が多く配合された生地を、天然酵母で作れないのかと言うとそんなことはありません。
ブリオッシュやパネトーネなどのようにしっかり砂糖が入っているパンも焼くことは可能です。
ただ、リーンなパンと違い、一次発酵の様子が違うことがありますので注意が必要です。
リッチな生地は一次発酵であまり膨らんでこない
リッチな生地を天然酵母で作ると、一次発酵ではそれほど膨らんでこないことが多いです。
ですが、正しい方法で作った天然酵母エキスを使い元種を作ることで、発酵時にはそれほど変化がないパン生地でも、焼いた時にはふっくらしてくれます。
まずは、天然酵母エキス作りをしっかり行うことをしましょう。
発酵はそれほど膨らまなくても、釜伸びがすごい！
砂糖に強いエキスで作ったパンは、焼いたときにものすごく「釜伸び」します。
一次発酵でも二次発酵でもあまりふっくらしてこなかったパン生地が、オーブンに入れて焼いた後にものすごく膨らんでくるという面白い現象があります。
それは、砂糖に強い酵母エキスをきちんと育てているからで、普通に育てた酵母エキスや元種では、こういうふうにはいきません。
砂糖に強い天然酵母を育てるには？
砂糖に強い酵母エキスを作るためには、あるていどの砂糖を餌としてあげて、育ててあげるという必要があります。
果物と水だけで育てた酵母エキスよりも、砂糖を入れて育てた酵母エキスのほうが、砂糖がいくらか入ったパン生地でも上手に膨らむという特徴があります。
育てるときには砂糖を入れてあげると、リーンなパンも出来るし、リッチなパンも出来ます。
両方のパンを楽しむことができますので、砂糖を入れて酵母エキスを育てていただけたらいいと思います。
ただし、砂糖を入れるときの注意点があります。
砂糖に強い天然酵母を作りたいからと言って、たくさん砂糖を加えてはいけません。
酵母というのは、元々は砂糖に弱いもの。
砂糖が多く入ってくることで「毒」にもなりうるわけです。
特に、フルーツを使って天然酵母を作る場合には、フルーツが持っている「果糖」もありますので、それほどたくさん入れる必要はありません。
１０〜３０％ぐらいで様子を見るといいかと思います。
今回のまとめ
今日は、酵母エキスが苦手なパンの種類と、得意なパンの種類についてお伝えをしました。
インスタントドライイーストにはリーンなパンを作るためのものと、リッチなパンを作るためのもの両方あるのも納得していただけたかと思います。
元々は糖分が苦手だということを知っておけば、ご自身でレシピを組み立てる際にも糖分をどの程度入れるかなど考えるのに役立つと思います。
天然酵母のパンはとても面白いパン作りです。
天然酵母を上手に使って、おいしいパン作りをしてくださいね。
