天然酵母エキスのどこをみて完成とするのか?自家製酵母を長年教えるプロの先生が解説します
こんにちは!
フルーツ酵母パン教室Happy Bakingの幸治里織です。
今日は『天然酵母エキスのどこをみて完成とするのか?自家製酵母を長年教えるプロの先生が解説します』ということについてお話しします。
当教室は、フルーツ酵母が日本で唯一学べるパン教室です。
Youtubeで自家製天然酵母について、毎日配信していますのでご覧くださいね。
天然酵母エキス作りで完成の目安がわからない方へ
今回は、天然酵母エキス作りは、どこを見て完成だと判断しているのか、ということについてお話をします。
こちらは生徒さんからご質問をいただいた内容です。
酵母エキスの出来具合について質問をいただき、私がどこを見て完成だと判断しているのか分からないとご質問をいただいたいので、それを少し詳しくご説明したいと思います。
天然酵母エキスは発酵させているのではないってホント?
まず天然酵母エキス作りについて。
天然酵母エキスというのは発酵をさせているわけではなくて、エキスの中にできるだけ多くの酵母菌を増やすという作業を行っています。
なぜ、そういうことを行うのかというと、自家製天然酵母というのはパンに有効な酵母菌だけではなくて、他の菌も同時に培養している「複合酵母」だからです。
市販されている、インスタント・ドライイーストや、生イーストは、パンに有効な酵母菌だけを取り出し人工培養したものです。
これは「単一酵母」と呼ばれています。
パンを膨らませることに特化したイースト単体に比べると、自家製天然酵母はいろいろな菌が混ざっていて育っています。
だから、どうしても、力が弱くて膨らみがよくないという特徴を持っています。
そのために、酵母エキスを作る段階で、できるだけ多くの酵母菌を増やしてあげたいわけなんです。
なぜ酵母菌をそれほどまで増やさないといけないの?
天然酵母エキス作りでは、きちんと出来上がりの見極めをしなければいけません。
私がレッスンのときに特典として行っている、天然酵母の出来上がりの見極めも受講生の方に失敗して欲しくないからつけている特典なのです。
複合酵母だから酵母菌を増やさなくてはいけないわけですが、なぜ、酵母菌を増やしたいのかというと、できるだけ発酵力を安定させて発酵時間の見極めや、予測をできるようにしたいからです。
そのために、しっかりと酵母菌を育てて増やしてあげることが必要になります。
発酵が安定したイースト、生イーストで換算すると1グラムあたり100億個の酵母菌が住んでいると言われています。
イーストにできるだけ近づけるためには、一生懸命に酵母菌を増やしてあげるという作業が必要になります。
酵母菌を増やすために必要なのは、水、酸素、糖分です。
酸素が多ければ多いほど酵母菌は増殖スピードがアップします。
ですから、しっかりと酸素を送り込んであげて管理をします。
天然酵母エキスの完成と見極めるポイント
さて、前置きはこのあたりまでです(笑)
では、どこを見て酵母菌がこれ以上に育たないと判断しているのでしょうか。
私が判断しているのは、気泡が出ているかどうか、素材が浮いているかどうか、オリの溜まりぐあい、エキスの濁りぐあい、味です。
この5つの点を見ることにしています。
実際に生徒さんから送ってきていただく写真だけでは、よく分からない部分もあります。
その場合は、いくつか質問をさせていただき、出来上がりかどうかを判断します。
天然酵母エキスが完成となるポイント5つ
味
酵母菌がまだまだ増えるという状態であれば、エキスがまだ甘いです。
というのは、糖分をまだ分解しきれていないからです。
分解しきれていないということは、だま育つ環境にあるというふうに考えていただいていいです。
発砲
素材によっては激しく発泡したり、逆にあまり発泡しないものがあります。
いちばんよく見ていただきたいのは、空気を瓶の中に送り込んだあとに、素材から小さな気泡がフワーッと上がってきていたり、エキスの中で細かな気泡がフワフワっと浮かんできているかどうかです。
それは、酵母菌がまだまだ増殖活動をしているという合図です。
ですから、瓶を回してみて小さな気泡が出ないかということをしっかりと観察する必要があります。
ここは、よく観察しないと、パッと見ただけでは分かりません。
近くで見ないと分からないので、しっかりと観察をしてください。
濁り
次に、エキスが濁っているかどうか。
酵母菌が増えてくると、天然酵母エキスの色はだんだん濁ってきます。
これを腐ってきたと勘違いされる方も多いですが、エキスの濁りは酵母が育っている証でもありますので、安心してください。
オリ
次にオリが溜まっているかどうか。
天然酵母エキスの濁りの後、ビンの底に徐々に白っぽい『オリ』と言う沈殿物がたまります。
このオリの中には酵母菌がたくさん住んでいます。
酵母の種類によってはあまりたまらないものもありますが、必ずと言って良いほど、どの酵母もオリはたまってきます。
しっかり確認しましょう。
素材が沈んできたかどうか
最終的に判断するのは、素材が沈みがちになるかどうかです。
素材が浮いている状態というのは、中で酵母菌が息をしている状態ということです。
それが、だんだん素材が沈んできます。
沈んできたら、酵母菌がそれ以上には増えないのだと判断することが多いです。
これ以上に空気を送ってあげても、もう排出する空気が無いということで、増殖活動を止めているということになります。
だから、素材が沈んでいたら完成というふうに考えます。
今回のまとめ
今回は天然酵母の完成の見極めについてお話しさせていただきました。
天然酵母エキス作りは、この完成の見極めが重要です。
見極めに失敗してしまうと、その後に待ち構えている元種作りやパン作りで失敗する可能性が大きくなってしまいます。
今回お伝えした天然酵母の完成のポイント5点を見て、ご自身で判断をされる場合には、参考になさってください。