天然酵母の作り方。どのように変化していくのか初心者でも分かるように天然酵母のスペシャリストが解説!
こんにちは!
フルーツ酵母パン教室Happy Bakingの幸治里織です。
今日は『天然酵母の作り方。どのように変化していくのか初心者でも分かるように天然酵母のスペシャリストが解説!』ということについてお話しします。
当教室は、フルーツ酵母が日本で唯一学べるパン教室です。
Youtubeで自家製天然酵母について、毎日配信していますのでご覧くださいね。
天然酵母の作り方がわからない初心者の方へ
今日は、初心者の方で、天然酵母の作り方で出来上がりが分かりにくい理由についてお話をします。
出来上がりが分かりにくい理由はいくつかあります。
まず、大前提として、きちんとした作り方を知らないということが考えられます。
ネットなどではきちんとした作り方を教えているものは少ない
本やネットなどの作り方では、どのように変化していくのかが分かりにくいです。
途中の写真などがあって分かるようになっているものもありますが、それがあまりよく分からずに、どのように変化していくのかが今ひとつ分からない。
そういうことが多いのではないでしょうか。
作り方を知らないからきちんとできていても不安になる
たとえば、正しい天然酵母の作り方では、途中でエキスが濁ってきます。
それは正しいことなのだけれども、失敗したのではないかと思ってしまう。
素材が水面浮いてきて、それはダメなのではないかと思ってしまう。
それは正しい作り方を知らないから「間違っているのではないか?」と不安に思ってしまうのです。
また、素材によっては発泡するのですが、その発泡がダメなのではないかと思ったり。
天然酵母の作り方で変化の1つ1つを知らないので、酵母エキスというものが、仕込んでから出来上がるまでにどのようになるのかが分からないから、失敗してるのでは、間違っているのでは、と思うんですね。
作り方をしっかりと知っていれば、途中で変化しても心配することはなくなります。
「これなら大丈夫」と、自信を持って育てられます。
やはり、初めてのことをするのはけっこう勇気が要ります。
しかも未知の世界で、酵母作りという生き物を扱うので、他の人と同じということもなかなかありません。
仕込んでいく中で、自分がしっかりと観察をして、その変化を見ていくことが大切です。
そこで、今回は、初心者の人でも分かりやすいように、どのように変化していくのかということをお伝えします。
天然酵母の作り方。変化の様子を細かく解説!
天然酵母の作り方ステップ1:準備する道具や材料、下準備
まず、瓶を用意していただき、瓶の中に、素材として果物やハーブやドライフルーツなど、自分が作りたい酵母の素材を入れていただきます。
それに合わせて砂糖を入れて、水を入れます。
その際には瓶をしっかりと煮沸消毒していただきます。
瓶を使うことでしっかりと煮沸消毒ができて、要らない雑菌を殺してしまうことができます。
天然酵母の作り方では、パンに必要な菌だけを育てているわけではありません。
だから、しっかりと煮沸消毒する必要があります。
煮沸消毒をした段階で、不要な菌をできるだけ排除しておく。
そうすることで酵母作りが上手にできます。
まず、煮沸消毒の手間を省かないようにしてください。
熱湯をかけただけとか、除菌スプレーを吹きかけただけとかではなく、しっかりと煮沸消毒をしましょう。
天然酵母の作り方ステップ2:仕込み方、作り方
準備した瓶の中に、素材と砂糖と水を入れて、作っていきます。
瓶の蓋は使いません。
瓶の蓋のかわりに、アルミホイルでカバーをします。
そして、28度〜32度で温度設定をした状態で素材を入れて保温します。
この保温について、常温ではいけないのかと、よく聞かれます。
でも、常温は、やめたほうがいいです。
常温で酵母エキス作りができる期間はとても短くて、真夏の1ヶ月くらいだと思います。
ですから、保温をしっかりするために、そのための機材が必要になります。
初めて作るときに機材を用意してまだ、と言う人もいらっしゃいますが、その場合にはオーブンの発酵機能を使っていただき、温度設定を30度に設定してください。
30度でずっと保温していけば大丈夫です。
発酵機をお持ちでしたら発酵器で、もしそれも無くて、ヨーグルトメーカーくらいしか保温機材が無いという場合も、それでかまいません。
温度が28度〜32度に設定できる機材であればそれで大丈夫です。
中には、保温庫ではダメなのかと質問をいただくことがあります。
保温庫の場合は、中の温度がどれくらいなのかをきちんと確認して、28度〜32度で保温できるのであれば問題ありません。
こういった保温できる機材を準備していただければ上手にできるのではないかと思います。
この保温というのがけっこう重要です。
酵母は、28度〜32度で活発に活動します。
この温度を外れて、低い場合には他の菌が増殖してしまいます。
瓶を煮沸するのは他の雑菌を殺すためだといいましたが、仕込むときに酵母菌以外の菌は入ってきます。
それが素材に付着している菌として、いろいろな菌が瓶の中に存在しています。
他の菌が増殖しやすい温度帯になるとそれが育ってしまい、酵母菌があまり力を発揮できない状態になってしまいます。
できるだけ酵母菌が活動しやすい温度帯に持っていって、酵母菌に増えてもらいます。
逆に、高い温度だとどうなるのでしょうか。
36度くらいまでは大丈夫です。
それ以上になると、また別の菌が繁殖したり、パンに有効な酵母菌が死滅していったりします。
できるだけ36度を超えないようにして育ててください。
天然酵母の作り方ステップ3:毎日のお世話
それから、酵母エキスが出来上がるまでの毎日のお世話として、必ず、アルミホイルのカバーを外して、仕込んだエキスの中にたくさんの酸素を入れてあげてください。
酸素を入れてることで酵母が増殖します。
酸素を遮断して育てた場合よりも、酵母が発する二酸化炭素が3倍多くなるという結果が出ているそうです。
その数値を先日に教えていただいたのですが、だから私のパンは、ふっくらとしているのだと、あらためて思いました。
ですから、天然酵母の作り方では酸素をたくさん入れてあげる。
酸素がたくさんある状態は増殖スピードも上がるし、発する二酸化炭素も増えます。
そうして酸素をたくさん入れてあげますが、最低でも、朝と晩の2回は酸素を入れてください。
それ以上にやっていただいてもかまいません。
気になるようなら1時間おきでもいいです。
ちょっと目についたときに入れていただくと酵母菌が喜んでどんどん増えていきます。
だから、酸素をたくさん入れてあげるということをしてください。
天然酵母の作り方ステップ4:エキスの濁り
そのようにして酸素をたくさん入れてあげると、早ければ3日めくらいにはエキスが少し濁ってきます。
この、濁った状態というのが、初心者の人にとっては驚きのようです。
濁ってしまったので、もしかしたら失敗したのではないかと思ってしまうようです。
でも、その濁りは天然酵母の作り方では正常な状態です。
酵母菌がしっかりと増えているという証拠です。
酵母菌が増えれば増えるほど、エキスはどんどんと濁ってきます。
だから、少し濁りはじめたら、腐ってきたとか失敗したとか思わないで、きちんと酵母菌が増えてきたのだと思ってください。
その後で、発泡する素材であれば発泡してきます。
そして、エキスが濁るとともに、瓶の底に沈殿物が現れてきます。
この沈殿物をオリといいます。
このオリの中にはたくさんの酵母菌が住んでいますので、オリが溜まってきたら「よし!」と思ってください。
発泡して、エキスが濁って、オリが溜まってくる。
こういう段階を踏むのだと知っておいていただければ無事に出来るのではないかと思います。
それらは失敗ではなく、きちんと正しく育っている証拠です。
その変化を、しっかりと毎日、見てください。
最終の出来上がりとしては、発泡する素材であれば発泡が落ち着いた頃に素材が沈みがちになります。
そうなると、エキスがだいぶ濁っていて、瓶の向こう側があまり見えないくらいに濁ります。
その状態であれば、瓶の底の沈殿物としてオリがたくさん溜まります。
そうなると、ほぼ完成です。
発泡が落ち着いていても、素材が水面上に顔を出している状態であれば、まだ酵母菌が増える可能性があります。
素材が水面から下がってきたくらいで完成だと思ってください。
しっかりと観察すれば、酵母菌が瓶の中で育っていく様子がよく分かります。
エキスの濁りが日に日に濃くなっていきます。
それを見て、酵母菌がどんどん増えているのだと思えば、なんだかワクワクしてきます。
私は18年くらい天然酵母を作っていますが、やはり今でも酵母を作る最初はドキドキします。
成功するのか、失敗するのか。
今となっては失敗することはほとんどありませんが、やはり失敗するかもしれないという気持ちはどうしてもあります。
だから、エキスが濁ってくると「良かった」と一安心します。
そういう状態になれば、その後は順当に育っていくであろうということを知っているので濁ってくると安心します。
だから、濁っているのは、腐っているとか、失敗しているとか、そういうことではありません。
最初にみなさんが驚かれるのはエキスが濁ってくることです。
そこは安心して作ってください。
今回のまとめ
今回は、初心者でも分かりやすいように、天然酵母の作り方でどのように変化していくのかということについてお話をしました。
ぜひ、参考になさってください。