パン作りが上手な方は、自分でレシピを組み立てることができますよね。
自分でレシピが作れれば、パン作りが一層楽しくなります。
イーストであれば、何も考えずにレシピを作っていたかもしれませんが、自家製天然酵母となると少し頭を捻らなければならない場面も出てきます。
ですが、全ての場面で頭を使わなければならないのかというと、そうでもないので、安心してください。
今回は、自家製天然酵母でレシピを作る際の注意点をお伝えします。
自分でオリジナルレシピを作る
自分でオリジナルレシピを作る時、考えないといけないのが自家製天然酵母をどのように使用するか、ということ。
酵母エキスをそのまま使うのか、それとも、種を作ってそれを使うのか。
どちらも特徴がありますので、どうやって作ったらいいか迷うことも多いかと思います。
それぞれの方法について見ていきたいと思います。
自家製天然酵母エキスをそのまま使う
自家製天然酵母エキスをそのまま、種にすることなく使うことができます。
その場合は仕込み水の一部として使用することができます。
種を作るわけではないので、酵母エキスが出来上がってすぐにパン作りに取り掛かることができるのがメリットです。
自家製天然酵母エキスをそのまま使うと、酵母の素材の風味が強く出ます。
種にしてしまうと、酵母の素材の風味は薄れてしまうので、酵母の素材の風味を強く出したいパンには向いています。
ただし、安定しないので、一次発酵や二次発酵の時間が読めないのがデメリットです。
酵母エキスを種にしてから使う
酵母エキスが出来上がったら、粉とエキスを混ぜて数回発酵させて種を作る方法があります。
元種や中種と呼ばれるものです。
このサイトでは、『元種』と表現と統一したいと思います。
元種でパン作りをするメリットは、何度か種を発酵させて作るため、種が安定し、ひいてはパン生地も発酵が安定します。
種の作り方によって発酵時間は変わりますが、一次発酵は6時間から遅くとも12時間以内には発酵終了しますし、二次発酵については、イーストのレシピと変わらないぐらいの短時間で発酵終了します。
デメリットをあげるとすると、酵母の素材の香りが薄くなること。
酵母エキスは素晴らしく素材の香りがしても、種にして何度か発酵させることで香りが薄まってしまいます。
その他のデメリットとしては、酵母エキスが出来上がってもすぐにパン作りに取りかかれないこと。
種を作る必要があるので、早ければ1日、遅いと数日かかってしまいます。
自家製天然酵母レシピで気をつけること
自家製天然酵母でパンを作るときに注意をしなければいけないことがいくつかあります。
ただ闇雲(やみくも)に酵母エキスや元種を使えばいいというものではありません。
自家製天然酵母でレシピを作る際に、どう言ったところに気をつけなければいけないか、また、やってはいけないことについてお伝えします。
仕込み水の代わりに酵母エキスを全量使う
酵母エキスを使ってパンを作る場合によくあるのが・・・
早く発酵させたいから
という理由だけで、酵母エキスを仕込み水の代わりに全量置き換えて使うということ。
結果から申し上げますが、仕込み水全量を酵母エキスに置き換えて使うということはやめた方がいいです。
なぜ、やめた方がいいのかと言いますと、生地がダレてしまうからです。
生地がダレるとなぜよくないのか?
生地がダレてしまった・・・という経験がある方はよくお分かりかと思いますが、生地がダレると、とにかく扱いにくくなります。
分割、丸め、成形・・・
パン作りには色々な工程がありますが、それのどれもがとてつもなくやりづらくなるのです。
それでは、どれぐらいの量が適量か?
気になりますよね。
作り手によりそれぞれかと思いますが、
水分量の20〜30%
を酵母エキスに置き換えると扱いやすい生地になります。
種をポーリッシュ種(水種)で作る場合
ポーリッシュ種というのは、粉と水分を1:1で作るもののことです。
または、作りてによっては、粉より水分が多いという場合があります。
ということは、種の中には、粉と水分が1:1または、粉よりも多くの割合で入っているということになります。
この、ポーリッシュ種でパンを作る場合に気をつけないといけないのが、
パン生地の水分量
です。
どういうこと?
何を言っているのか分からない!
そう感じた方もいらっしゃいますよね。
ポーリッシュ種の中には粉と同量の、またはそれ以上水分が入っているので、その水分のことも考えてレシピを考える必要がある
ということなのです。
言葉で見るといまいちよくわかりませんよね。
ここで少し数字を交えてお話ししますね。
ここでは、実際に私が自家製天然酵母でパン教室を始めた時、ポーリッシュ種でレシピを組み立てていましたので、そのレシピを参考に出しています。
ポーリッシュ種でのレシピ作成方法
先ほども申しましたが、ポーリッシュ種は粉と水分が1:1かそれ以上です。
私が自家製天然酵母の教室を始めた頃は、粉と水分を1:1の割合で教えていましたので、それを基本とさせていただきます。
まず、種を除いた基本のレシピが次のようなものだとします。
ちなみに表示はベーカーズパーセントです。
強力粉 100
塩 2
砂糖 5
スキムミルク 2
水 68
バター 5
このレシピに元種を50加えると仮定します。
そうすると、元種の中の粉の量は25、水分は25ということがわかりますよね。
水分と粉が1:1という仮定なので。
それを元のレシピに足すと・・・
強力粉 100+25=125
塩 2
砂糖 5
スキムミルク 2
水 68+25=93
バター 5
この状態でベーカーズパーセントに直すと・・・
強力粉 100
塩 1.6
砂糖 4
スキムミルク 1.6
水 74
バター 4
水分量が68%から74%まで上昇しています。
たかだか6%じゃない?
それが大きな間違いです。
ただでさえ、自家製天然酵母の生地はベタつきがちなのに、水分量が多いことでもっとベタベタしてしまい、生地として成り立たない場合もあります。
そしたら、どうやって計算したらいいのでしょうか?
ちょと複雑になりますが計算式というか、考え方を示しますね。
まず、最初に示した、粉と元種に含まれる粉の量をそのままで考えます。
ということは、ここでは粉量125ということになります。
この状態で目指したい水分量(ここでは68%)を計算します。
125×68%=85
粉量125で水分量が85だと出ましたね。
でも、この85の中には元種に含まれている25も含まれているのです。
ですから85から25を引いてみると・・・
85-25=60
つまり、粉と水分が1:1で作った種で、水分量を68%にしたい場合のレシピは・・・
強力粉 100
元種 50
塩 1.6
砂糖 4
スキムミルク 1.6
水 60
バター 4
となるのです。
少しわかりづらかったでしょうか?
同じように元種を30%加える場合、40%加える場合・・・と自分でレシピを計算することができるようになります。
イーストのレシピを応用して作る
自分が学んだイーストレシピや、ネットや本で見つけたイーストレシピ。
それで作ったパンが美味しくて、できたら色々といじらずにそのまま作りたい!
そんなお気に入りのレシピがある方も多いのではないでしょうか?
そんな場合、どうしたらいいのか?
水分の一部を酵母エキスに置き換えて作る方法もありますし、種を作ってパンを作る方法もあります。
でも、さっきの説明で、種を作ると計算が面倒・・・
そんな方に朗報!
種をポーリッシュではなく、
普通のパン生地と同じぐらいの硬さ
で作ってください。
普通のパン生地(どれが普通か?と言われたら困りますが・・・)はだいたい水分量が68〜70%程度で考えられています。
中にはもっと少ない水分量で計算されているものもありますけど・・・
それは、ちょっと考えないようにします(笑)
ですので、種を作る場合も水分量が68〜70%ぐらいになるように作れば、イーストのレシピがそのまま利用できます。
元種はどれぐらい入れればいいのか?
イーストのレシピを流用する場合、イーストは1〜2%程度添加されていますが、自家製天然酵母の元種はどれぐらい加えればいいのかわかりませんよね。
基本的には、30〜50%の範囲で問題ありません。
私が作った実績では、最低量は10%。
十分美味しいパンが焼けました。
逆に増やすとどうなるのかというと、元種が多いと、扱いづらい生地になってしまいます。
ですから、増やすことはあまりオススメできません。
自分が作りやすい方法を見つけて
自分自身でレシピを作るときは、どんな方法の方が一番作りやすいか?
これに限ります。
手間をかけてまで作るのか?
安定させて作るのか?
イーストのレシピを流用したいのか?
自分で一からレシピを作りたいのか?
要望によって作り方は違ってくると思います。
ぜひ、自分で作りやすい方法でレシピを作ってみてくださいね。
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