モルトパウダーとは一体何?入手方法から使い方までプロの先生が教えます
こんにちは!
フルーツ酵母パン教室Happy Bakingの幸治里織です。
今日は『 モルトパウダーとは一体何?入手方法から使い方までプロの先生が教えます』ということについてお話しします。
当教室では、フルーツ酵母が日本で唯一学べるパン教室です。
Youtubeで自家製天然酵母について、毎日配信していますのでご覧くださいね。

モルトパウダーとは一体何なのかを詳しく知りたい方へ

パンのレシピに書いてあるモルトパウダー。
果たしてこのモルトパウダーとは、一体何なのか?
不思議に思ったことありませんか?
レシピにモルトパウダーって書いてあって、買いに行くけど、なかなか見つからず、苦労された方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、モルトパウダーとはいったい何なのか、その効果や入手先に至るまで、モルトパウダーについて説明します。
レシピにモルトパウダーって書いてあるけど、必ずいるものなの?
私がパン作りを始めたきっかけは、フランスパンを上手に焼きたいという思いからでした。
最初はオーブンを買った時に、説明書と一緒に入っていたレシピを見たりしてパン作りを行っていましたが、なんか違う・・・
私が食べたいフランスパンはこんなのではない・・・
そう思い、本格的なレシピを探すようになりました。
たくさんのレシピ本をみて、本格的なレシピを探した時に思ったこと。
モルトパウダーって何??
でした。
他の材料は知っているものばかりでしたが、このモルトパウダーだけはいったい何なのかがよくわかりませんでした。
そしてその時思ったこと。
モルトパウダーって手に入らなければ、代用品はないのか?ということです。
たくさん使うものならまだしも、少量しか使わないし、できればたくさん材料を揃えるのは嫌だと思っていたので、入れなくてもいいんじゃないかと思ったことも。
最初は何も思っていませんでしたが、リッチなパンも作るようになった時に、ふと思ったことがあります。
なんで、モルトパウダーはハード系にしか入っていないんだろう?
リッチなパンのレシピでは、モルトパウダーが入っているレシピは見かけません。
モルトパウダーとは何かを詳しく教えます!
そこで今回は、モルトパウダーについて、長年パン教室の講師をしているプロが詳しく説明します。
これを読めば、モルトパウダーについて、少量でもきちんと役割を果たしてくれているものだと理解できるはずです。
モルトパウダーとは。入手方法から使い方まで

それではここからは、モルトパウダーについて詳しく述べていきたいと思います。
モルトパウダーのことがわかると、これからのパン作りも一層楽しくなること間違いなしです!
モルトパウダーとは何からできているの?
モルトパウダーとは、大麦が発芽する時に活性化するα-アミラーゼによってできる副産物の麦芽糖のことです。
砂糖を入れないレシピには、発酵を手助けしてもらうために、添加することが多いです。
「糖」とついているから甘いかというと、甘みが強いわけでもなく、ほんのり甘みを感じる程度です。
モルトパウダーの効果
モルトパウダーを使う大きな目的は、小麦粉の中のデンプンの組織を酵母またはイーストが餌として使うことができる、デキストリンやブドウ糖に分解して、酵母またはイーストが栄養補給をして活性化させるためです。
ハード系のパンには砂糖を入れないので、酵母やイーストがパン生地を発酵させるためには、まずは小麦粉に含まれるデンプンをブドウ糖に分解する必要があるのですが、それを手助けするのがモルトパウダーなのです。
少し、難しい話で、科学的なのですが、モルトパウダーにはα-アミラーゼという酵素が含まれています。
このモルトパウダーに含まれているα-アミラーゼがデンプンをブドウ糖に分解するのです。
酵母やイーストには、元々体内にデンプンを分解するための酵素は持っていますし、小麦粉の中にもデンプン分解酵素は含まれています。
ですが、それだけでは、砂糖の入っていないパン生地を膨らませるのには不十分で、モルトパウダーの力を借りるというわけです。
また、モルトパウダーを入れることで、表面の焼き色が付き、パリッと焼けます。
モルトパウダーを入れずに焼くと、表面の焼き色は白っぽく焼き上がります。
モルトパウダーはどこで買える?
モルトパウダーは、スーパーなどではあまり見かけません。
製菓材料店で購入するといいでしょう。
大きいスーパーの中には、製菓材料をたくさん扱っている店もあるので、モルトパウダーが置いてある場合もあります。
輸入食材を扱うお店にも売られていることもありますね。
最近は製菓材料店のネットショップも充実していますので、そちらで買うか、またはアマゾンや楽天市場で検索してみると、必ずヒットしますね。
モルトパウダーの使い方
モルトパウダーは、びっくりするほど少量しか使いません。
フランスパンなどのハード系に使用する場合はベーカーズパーセントで0.2~0.3%程度の量を使用します。
使用量は多くても0.5%までにしましょう。
モルトパウダーをたくさん使いすぎると、パン生地がベタついたり、だれる原因にもなります。
そうなってしまうと、生地の分割や成形作業が大変になりますので、レシピ通りに入れるようにします。
モルトパウダーは使用量が少ないので、0.1g単位で計量できるスケールを購入して、きちんと計量しましょう。
使う場合は、そのまま他の材料と一緒に混ぜてこねていただければ大丈夫です。
また、モルトパウダーではなく、モルトシロップというものも存在します。
こちらはねっとりとしたシロップで、使用量はモルトパウダーと同じです。
モルトシロップの場合は、国産と外国産ではモルトに含まれるα-アミラーゼの量が違います。
外国産の方が活性が強いので、そちらを使う場合は、使用量を少し控えめにした方がいいでしょう。
モルトパウダーとモルトシロップ、どちらの方がいいかとよくご質問をいただきますが、家庭で使うのであれば、モルトパウダーの方が使い勝手がいいです。
モルトパウダーは粉状なので、保存もしやすく、軽量もしやすい。
モルトシロップは軽量が難しく、量が多いため、家庭では使い切ることができないことが多いからです。
モルトシロップは、ベーカリーでよく使われていますね。
大量に仕込む方は、モルトシロップを使ってもいいかもしれません。
モルトパウダーの代用品って何かある?
モルトパウダーが手に入らなかった場合や、1回当たり、少量しか消費しないからできれば買わずにできないかと、よくご質問いただきます。
その場合には私は砂糖を使うことをお勧めしています。
ですが、砂糖を使ってハード系を焼くと、モルトパウダーを使って焼くのと違って外のパリパリ感や膨らみ、食感が全く違うものに出来上がってしまいます。
ハード系のメリットは、やはりパリッとした香ばしいクラストですよね。
ハードパンを作るのであれば、ぜひ、モルトパウダーを購入して使っていただきたいです。
今回のまとめ
今回はハードパンには欠かせないモルトパウダーについてまとめてみました。
モルトパウダーは、ハードパンだけでなく、クロワッサンなど、サクッとしたパン生地にも使用します。
また、砂糖を入れずに作るパンには発酵の手助けをしてもらうために入れることもあり、手元にあればいろんな使い道があるので便利な材料です。
近くに売っているお店がない場合は、製菓材料店やアマゾンなどのネットショップを利用して、ぜひ購入していただきたいと思います。