自家製天然酵母パン作りがうまくいかないことの理由の一つに、酵母エキス作りがうまくいかないと言うことがあります。
何が原因で失敗したのかが分からない場合の多くは、この、酵母エキス作りで失敗していることが多いです。
今回は、酵母エキスを作るときに失敗する理由というものについてお話をしたいと思います。
エキス作りの失敗原因その1:ビンの煮沸不足
失敗する理由として、ビンを使って酵母エキスを作っていくと思うのですが、ビンの煮沸不足が考えられます。
煮沸消毒が不足していたという場合に、酵母エキス作りが失敗することがあります。
なぜかと言うと・・・
酵母エキスを作るときには、酵母菌だけを増やしているのではなくて、他に空気中に浮遊している菌などを一緒に培養しています。
雑菌がビンの中にあると、雑菌が繁殖する環境と酵母菌が繁殖する環境というのがよく似ているので、雑菌のほうが優位に経ってしまい、酵母菌が負けてしまってエキス作りに失敗してしまいます。
それに気づかずにパン作りを行うと、失敗してしまう。
と言うことになります。
と言うのも、エキス作りに失敗をしたかどうかも分からずにパン作りを行うとパンがうまくできない。
種を作っても、なんだか、これでいいのかよく分からない。
そんな状態になります。
酵母エキスで成功するためには、酵母菌をしっかりと育てるということが必要になります。
まず最初に、失敗する原因である雑菌というものをしっかりと煮沸消毒して除去しておく。
これが大切になります。
エキス作りの失敗原因その2:ビンにフタをしている
これは多くの人がよくされていると思います。
煮沸消毒はしっかりした。
酵母エキスをしっかりと仕込んでいる。
だけど、酵母エキスを作る際に蓋をしてしまっている。
それでは、フタをしてしまうとどういうことになるのでしょうか。
多くのレシピは1日に一回、フタをとって空気を入れるように書いてあると思います。
この作り方でも酵母菌は増えていくのですが、酵母菌というものは酸素がものすごく好きな菌です。
その酸素がものすごく少ない状態で酵母菌がどんどんと増えていくのですが、酵母菌は、酸素が少ない状態になると発酵という作業に入ってしまいます。
ですので、酵母菌は空気が足りないという状態におかれると、増殖するのを止めて発酵という作業に入ってしまうので、酵母菌がそれほど多くは居ない中でエキス作りが完了してしまうということになります。
エキスの中に酵母菌がそれほど多く存在しない状態で完成させてしまっているので、その後の種作りやパン作りを行ってもうまくいかない、と言うことになるわけです。
エキス作りの失敗原因その3:出来上がりの判断を間違っている
こちらもよくある失敗なのですが、まだ出来ていないのに完成したと勘違いしてしまっている場合。
どういう状態になったら酵母エキスが完成で、今の状態が完成なのかどうかということの見極めができずにエキスを完成してしまうから失敗をする。
酵母エキスの出来上がりの見極めをしっかりと学んでいただいて、それを当てはめていただけば、それほど失敗することは無いかと思います。
エキスの出来上がりの見極め方
酵母エキスの出来上がりの見極めができるようになると、自家製天然酵母パン作りもどんどんと上達していきます。
ここでは酵母エキス作り完成の見極め方法についてお伝えします。
発泡で見極める
出来上がりの見極めというのは、まず発泡が落ち着くということです。
素材のまわりに発泡してくるのですが、その発泡の状態というのは、酵母菌がとても活発に活動をしている状態を現していると私は思います。
私は研究者ではないので実際にその中身を見たわけではないのですが、自分が長年やってきた感覚で言うと、どんどん酵母菌が増えているときは発泡していると感じています。
もちろん、素材によって発泡の具合は変わってきますけど。
その発泡が落ち着くというのがまず1つの見極めです。
エキスの色で見極める
エキスの色をよく観察しましょう。
最初は透明だったものがどんどんと濁ってくるんです。
日を追うごとに濁ってきます。
濁ってきたら酵母菌が増えてきているという合図でもあります。
沈殿物で見極める
瓶の底に沈殿物がたまるのですが、その沈殿物は澱(おり)といいます。
その澱(おり)がしっかりと溜まってくると酵母菌が増えているという合図でもあります。
なぜかと言うと、その澱の中にたくさんの酵母菌が住んでいるからです。
しっかり強い酵母エキス作りを目指そう!
ここまで、酵母エキス作りで失敗する原因についてお伝えしました。
酵母エキスをきちんと作るには、発酵がおさまっているか、エキスが濁っているか、澱が溜まっているか、あと一つ言うならば、エキスの味をみていただいて、糖分がすべて飛んでいるかどうかを確認していただくことが必要になってきます。
それらを確認せずに、「これで大丈夫だろう」「このへんでいいんじゃないか」ということで切り上げるので、みなさん失敗をしてしまいます。
それほど酵母菌がたくさん増えていないのに、エキスを仕上げてしまうので、その後で作る元種だったり、パン作りだったりで失敗してしまうということになります。
酵母エキスを失敗しないためにいくつかポイントがあります。
ポイントをしっかりと抑えて、強い酵母エキスを作っていただけたらと思います。