私がパン教室を始めたばかりのころ。
保育園で調理師をされている方が
教室に通われていました。
イーストでのパン作りはされていて
ずいぶん手際のいい方でした。
話を聞けば、仕事を辞めて
青年海外協力隊になるのが
夢だと話されていました。
ちょうど、私の教室に通われているとき
青年海外協力隊に参加するための
試験を受けておられました。
その時言われていたのは
「派遣されるのは後進国。きっと
イーストとかないだろうから
フルーツなどで酵母を起こし
パン作りを教えてあげたい」
ということでした。
生徒さんの目はとてもキラキラしていて
希望であふれていました。
教室に何度か通っていただき
自家製天然酵母でパン作りを
学んでいただきました。
そんなある日
「先生!合格しました!!」
と嬉しい連絡が。
私もとてもうれしくて
2人でとても喜びました!
最後のレッスン日。
生徒さんから
「今までありがとうございました。
これ、先生にプレゼントです。」
と手渡されたものがあります。
それは、刺し子の布巾でした。
通勤中に一針一針、縫ってくださったとのこと。
いただいたすぐは、使うのがもったいなくて
しばらくそのまま置いていましたが
せっかく作ってくださったのだからと、
生徒さんが海外に行かれた時期から使い始めました。
大切に使っていても、やはり布巾は消耗品。
穴が開いて破れてきました。
だけど、この布巾を見るたびに、その時の生徒さんのまっすぐなまなざし、
とてもまじめにパン作りに向かわれている姿勢を思い出し
なかなか捨てることができないのです。
私が教室を始めたころの
気持ちを思い出させてくれる
生徒さんからのプレゼント。
絶対、捨てられないものです。
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